こんにちは、たかやんです。
愛猫の健康を管理していくことは、私たち飼い主にとって重要な使命です。
しかし、言葉を話さない猫の「体調」を知ることは簡単ではではありません。
猫の病気を早期に察知し、適切なケアを行うためにはどうすればいいのでしょうか?
この記事を読んで、猫の具体的な「症状」、それぞれの症状が示す可能性のある「病気」について知識を深めましょう。
そのうえで、猫にとって「最善のケア」について考え、愛猫が元気に過ごせる日々を取り戻すための一助になれば幸いです。
ぼくは結膜炎になったことがあるにゃ……
あたしは子猫のとき、条中症うたがいだったにゃ……
そうだねー。家猫に慣れるまではいくつか試練があったね。
今は元気でなにより!
愛猫の幸せは、飼い主の知識と対応力によって大きく左右されます。
愛猫と共に過ごす毎日を最大限に楽しむための、必要知識として身につけましょう!
猫の健康チェックの基本
愛猫の健康管理は、猫と人との生活の質を高め、長く一緒に過ごしていくために大切なことです。
ここでは、猫の健康チェックの基本について解説していきます。
①猫の行動の観察
猫は感じた痛みや苦しみをなかなか外に表現しない動物です。
ですので、猫の生活をよく観察し、行動や性格の変化に気づくことが健康管理の大切なポイントです。
例えば、元々社交的な猫が途端に人見知りを始めたり、逆に元々人見知りだった猫が急に甘えん坊になった場合、何か体調不良を抱えている可能性があります。
また、いつもと変わらぬ行動の中にも、見落としがちなサインが隠れていることもあります。
例えば、食事の際の鳴き声が普段より高くなった、運動好きな猫が急に活動量を減らした等です。
これらの変化を見逃さずキャッチし、必要であれば早めに獣医師に相談することが大切です。
②猫の食事と水分摂取
猫の食事管理は、健康チェックの重要な要素の1つです。
猫がそこから摂取する栄養素は、猫の体調を維持し、病気を予防する役割を果たします。
例えば、タンパク質は筋肉や皮膚、毛髪の健康に必要な栄養素であり、脂肪はエネルギー源として重要です。
また、水分摂取も非常に大切で、特に尿道疾患を抱える猫の場合、適宜な水分摂取が予防に有効です。
食事の嗜好や量、飲む水の量が急に変わった場合も、何か体調の問題を抱えている可能性があるため、注意深く観察することが求められます。
③猫の体重と体型
猫の体重や体型も健康管理に不可欠なチェック項目です。
体重が急に増加したり、逆に減少したりすると、病気のサインである可能性があります。
また、肥満は心臓疾患や糖尿病など様々な疾患のリスクを高めます。
逆に、過度な痩せは栄養失調を引き起こし、免疫力低下を招きます。
体型については、ボディコンディションスコア(BCS)という評価方法があります。
環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康をまもるために~」には、次のような内容があります。
ボディコンディションスコア(BCS)について
見た目と触れた状態から、体型(特に脂肪の付き具合)を9または5段階で評価します。なお、現在の体重とBCSから理想体重を求めるには、獣医師に診てもらうことをおすすめします。
引用:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康をまもるために~」
このように、体重と体型の観察を通して猫の健康を日々管理することが重要になりますね。
猫がかかる病気を知っておこう
愛猫が健康に過ごすためには、猫がかかりやすい病気について知っておくべきです。
特に発生しやすいポイントやサインを把握し、早期発見・早期治療につなげることが愛猫の健康維持に重要となります。
どの症状や病気も、自己判断はせずに、疑わしいと思ったらすぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
顔まわりの病気
結膜炎
結膜炎は、猫の目の白目部分を覆っている結膜が炎症を起こす病気です。
主な症状:目が充血する、目やにがる、目をこする、まぶたがくっついてしまうなど
原因:猫風邪の症状、目に異物が入る、けんかによるひっかき傷など
眼球やまぶた周りが赤く腫れ上がり、猫が目をこすったり目を半分閉じたりする場合、結膜炎の可能性があるため、獣医師の診察を受けましょう。
角膜炎
角膜炎は、目の表面を覆う角膜に炎症が起こる病気です。
症状:涙がでる、よくまばたきをする、痛みで目をこするなど
原因:けんかで傷つく、とげが刺さる、その他感染症など
うっ血したり、瞬きが頻繁になったり、光を避ける行動が見られた場合、角膜炎の可能性がありますので、早めに獣医師へ連絡しましょう。
緑内障
緑内障は、眼球内の圧力が上がり、視神経が損傷する病気です。
症状:瞳孔が櫃も開いている、目が腫れて大きくなるなど
原因:目の中の圧力のバランスがくずれるなど
これにより視力が低下したり完全に失ったりする恐れがあります。
猫が目をこすったり、光を避ける行動を見せた場合、緑内障の可能性があります。
疑わしいと思ったらすぐに獣医師の診察を受けてください。
鼻炎
鼻炎は、鼻の粘膜が炎症を起こす病気です。
症状:鼻水やくしゃみが出る、食欲が減る、呼吸がしにくく口を開けているなど
原因:猫ウィルス性鼻気管炎、細菌感染、ハウスダストアレルギーなど
心地よく呼吸できないため、口呼吸に切り替えようとする猫の姿が見られる場合、鼻炎が疑われます。
早めに獣医師の診察を受けましょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎は、副鼻腔内に炎症が起こる病気です。
症状:濃い鼻水がでる、鼻筋が腫れ熱や痛みが出る、食欲が落ちるなど
原因:鼻炎が悪化し、鼻の奥まで炎症が広がるなど
頭部が腫れてきたり、食欲が落ちたりすることもあります。
また、猫が口を開けて呼吸することが多い場合は、早急に獣医師の診察を受けましょう。
外耳炎
外耳炎は外耳(耳の穴から鼓膜まで)に炎症が起こる病気です。
症状:耳の中が赤く腫れる、耳アカや耳ダレがでる、耳がにおう、耳をかゆがっているなど
原因:細菌やカビによるもの、ダニなどの寄生虫によるものなど
耳を清潔にして定期的なチェックで予防できますが、症状が現れたら、まずは獣医師の診察を受けましょう。
歯周病
歯周病は、歯周組織が炎症を起こす病気です。
症状:猫の口臭が強くなる、歯肉のただれや腫れがみられる、歯が抜けるなど
原因:口の中の食べかすが歯垢や歯石となり、その中の細菌が原因で炎症をおこすなど
猫が食事中に突然食事を中止したり、口を開けたままいる姿を見た場合、歯周病の可能性が高いです。
日々のデンタルケアをこころがけましょう。
疑わしいと思ったら、獣医師の診察を受けてください。
猫の歯の吸収病巣
猫の歯の吸収病巣は、歯が徐々に溶けてしまう病気です。
症状:ごはんを食べづらそうにしている、歯垢や歯石が付着している、歯ぐきが腫れているなど
原因:歯を溶かす細胞が異常増殖して発症
猫が食事中に突然食事を中断したり、口臭が悪化していたり、よだれを出している場合これが原因となっているかもしれません。
また、定期的な歯科検診が、この病気の早期発見につながります。
皮膚・被毛の病気
アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、アレルギーが原因で皮膚に炎症が起こる疾患です。
症状:湿疹やかさぶたができる、かゆがっている、毛が抜けるなど
原因:ほこり、カビ、花粉、ノミアレルギーなど
皮膚が赤く腫れたり、かゆみが強まることが特徴的です。
猫が頻繁にかゆみを感じる場合、アレルギー性皮膚炎が疑われます。
また、顔や耳、前足、足裏に特に症状が現れやすいです。
疥せん(かいせん)
疥せんは寄生虫が原因で起こる皮膚疾患で、非常に強いかゆみを伴います。
症状:しきりに顔をかく、顔や耳のふちの毛が抜けかさぶたができるなど
原因:ヒゼンダニの寄生による炎症
皮膚が厚くなり、赤く腫れあがることや、皮膚から異臭を放つこともあります。
特に、耳の中や足、顔、腹部に症状が現れやすいです。
野良猫との接触により、連れてくることがないように、猫も飼い主も注意しましょう。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
皮膚糸状菌症は、糸状菌という寄生虫が皮膚に感染して生じる病気です。
症状:円形で脱毛が進行するという特徴的な症状
原因:猫の皮膚や毛ににカビが生える
頭部や四肢に特に感染しやすいです。
また、ヒトに感染する可能性もあるため注意が必要です。
猫座瘡(ねこざそう)
猫座瘡は、皮膚の深層部まで炎症が進行し、しこりや潰瘍ができる皮膚疾患です。
症状:下あごの毛が抜ける、黒いボツボツ、赤い斑点ができるなど
原因:猫のにきび、食事による脂肪分過多、皮膚の汚れ、猫の体質及びストレスなど
大抵は一箇所に集中して起きますが、症状の進行が早い特徴があります。
消化器系の病気
胃腸炎
胃腸炎は、胃や腸の粘膜が炎症を起こす病気です。
症状:やわらかいうんち、下痢便、激しい嘔吐、脱水症状など
原因:腐りかけの食事、冷たいものを食べた、食べ過ぎなど
食欲不振や嘔吐、下痢などが主な症状です。
猫が食事を残したり、嘔吐や下痢が頻繁に起きた場合、胃腸炎の疑いがあるため、早めに獣医師へ相談しましょう。
毛球症
毛球症は、猫が自分の毛を舐め取ることで飲み込んだ毛が、胃や腸で固まってしまう病気です。
症状:食欲不振、吐くそぶりをするが何も出ない、便秘など
原因:毛づくろいの毛が胃の中で絡まってかたまりになる
通常はなめとった毛は吐き出すか、うんちの中に出てきますが、このバランスがくずれると、発症してしまう恐れがあります。
日常のブラッシングを行い飲み込む毛の量を減らすようケアすることや、毛球症対策フードなどもあります。
慢性の便秘
慢性の便秘は、便通が悪化し、便が硬くなることで排便困難が生じる状態です。
症状:便秘が続く、食欲が落ちる、吐くそぶりをするが何も出ないなど
原因:腸の機能低下、先天的障害、腸の周辺腫瘍など
便秘が進行すると食欲不振や体重減少、便秘による腹部の張りなどが見られます。
また、便秘が原因で腹痛が起き、猫が食事を避けることもあります。
巨大食道症
巨大食道症は、食道の筋肉が正常に動かず、食道が広がり過ぎてしまう疾患です。
症状:食べたものや水すぐ吐く、体重減少、衰弱など
原因:食道が通常より広がり、食べ物を胃まで送り込めない
これにより飲食物の移動が難しくなり、飲み込むことは困難になり食事後の嘔吐が起きます。
猫ではまれな病気で、生まれつきの場合のほか食道の病気になどによるものが原因。
腸閉塞(ちょうへいそく)・腸重積(ちょうじゅうせき)
腸閉塞と腸重積は、消化管の通路が閉塞してしまい、飲食物や腸液の通過が妨げられる病気です。
症状:激しい腹痛、食欲が落ちる、嘔吐、衰弱するなど
原因:異物の飲み込み、腫瘍うたがいなど
また、脱水症状を伴うこともあります。
脂肪肝
脂肪肝は、負荷がかかると肝細胞に脂肪が蓄積される病気です。
症状:食欲が落ちる、眠る時間が長くなる、嘔吐や下痢など
原因:肝臓に脂肪がたまる、肥満、糖尿病など
長期間の食事拒否が続いた場合は、脂肪肝を疑い、獣医師に相談しましょう。
気管支炎・肺炎
気管支炎や肺炎は、それぞれ気管支や肺に炎症が起こる病気で、通常、風邪やウィルス、気管の異物が原因で発症します。
症状:空せきをする、高熱が出る、胸を触られるのを嫌がる、呼吸が荒いなど
原因:猫ぜんそくウィルス、細菌に感染
ぜんそくや咳、頻繁な呼吸、口から泡を吹くなどの症状があります。
症状が確認された場合は一刻も早く、獣医師の診察を受けてください。
膿胸(のうきょう)
膿胸は、胸腔内に膿が溜まる病気です。
症状:呼吸が荒くなる、呼吸困難になる、下や歯ぐきが青紫色になるなど
原因:肋骨に囲まれた胸腔に穴があき、細菌が入り膿がたまる
呼吸が明らかに苦しそうで食事をとらないようであれば、何か重大な疾患が疑われるので、すぐに獣医師に連絡を取るようにしましょう。
泌尿器系の病気
尿路結石
尿路結石は、尿中のミネラルが結晶化して結石を形成し、尿路を塞いでしまう病気です。
症状:頻繁にトイレに行くがおしっこが出ない、おしっこにキラキラした結晶のようなものが混じっているなど
原因:水の飲む量が少なく結石や結晶ができる
痛みを伴うため、結石があると猫はトイレの前でうろついたり、何度もトイレに行ったりします。
また、血尿を伴うこともあります。
急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい)
急性腎障害は、腎臓が突然機能を低下させる病気で、脱水や高血圧、腎結石などが主な原因となります。
症状:食欲が落ちる、水を飲む量が減る、おしっこの量が減るなど
原因:細菌感染、事故などで腎臓に異常があるなど
進行が早く早期の治療が大切です。
症状が現れたら、早めに獣医師の診察を受けましょう。
慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)
慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に落ちる病気で、特に高齢の猫に見られます。
症状:水を飲む量が増える、大量のおしっこをする、激しく吐く、体温が低下するなど
原因:腎臓の機能低下、組織がこわれる
猫の死因の上位に上がる病気です。
初期段階では自覚症状がないため、定期的な健康チェックが必要です。
膀胱炎(ぼうこうえん)
膀胱炎は、膀胱の粘膜が炎症を起こす病気です。
症状:頻繁にトイレに行く、血尿が出る、トイレ以外の場所で尿をするなど
原因:細菌感染、結石や結晶が膀胱を傷つけるなど
また、膀胱炎は痛みを伴うため、猫がトイレの前でうろついたり、何度もトイレに行ったりする場合は、膀胱炎を疑いましょう。
寄生虫による病気
回虫病
回虫病は、回虫という寄生虫が体内に侵入することで起こります。
症状:食べているが痩せていく、吐く、下痢、貧血など
原因:回虫が猫の腸に寄生する
回虫は肛門周辺に産卵するため、肛門周辺を舐める、下痢や腹部膨満などの症状がみられます。
また、大量感染すると栄養不足に陥り、体重減少や発育阻害を引き起こすこともあります。
条虫症(じょうちゅうしょう)
条虫症は、条虫という寄生虫が体内に侵入し、栄養を奪って増殖する病気です。
症状:おしりをかゆがる、食欲が落ちる、吐く、下痢など
原因:ノミに運ばれた条虫など
また、行動もおかしくなり、長時間を費やして肛門を舐めたりするため、異常行動が見られたら、獣医師に相談しましょう。
内分泌系の病気
糖尿病
糖尿病はインスリンの分泌が減少し、血糖値が上昇する病気です。
症状:おしっこの量が増える、食べているのに痩せていく、吐く、下痢など
原因:膵臓から分泌されるインスリンホルモンが不足し、血糖値が高くなる
悪化するとほかの病気を併発する可能性もあります。
肥満猫や中高齢猫に多く見られ、適度な運動量と健全な食事が予防につながります。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過活動となり、甲状腺ホルモンの分泌が増大する病気です。
症状:急に活動的になり動き回る、おしっこの量が増える、吐く、下痢など
原因:首の甲状腺が腫れ、甲状腺ホルモンが正常値以上に分泌される
食欲が増えても体重が減少する、嘔吐や下痢を伴うことがあり、治療が必要となります。
特に高齢猫に発症することが多く、初期段階では自覚症状がないため、定期的な健康チェックが重要です。
感染症による病気
猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎はコロナウィルスに感染し、その結果特定の猫において細胞内で病原性が変化、病因体が増殖することで起こる深刻な病気です。
症状:食欲がおちる、吐く、発熱、胸やおなかがふくれる
原因:腸コロナウィルスの突然変異など
ウェットタイプ、ドライタイプ、混合タイプなどがあります。
免疫系の異常反応により、腹水や胸水がたまるなどの症状を引き起こします。
我が家で最初に飼った、アメリカンショートヘアの愛猫は残念ながら、この病気で虹の橋を渡りました。
トキソプラズマ症
トキソプラズマ症はトキソプラズマという寄生虫が原因となる感染症で、食事や排便の中の虫卵を介して感染します。
症状:通常は症状がでない
原因:トキソプラズマに感染した猫の便を介して感染
症状の出ないことも多い疾患ですが、深刻な場合は重篤な病状を引き起こすこともあります。
トキソプラズマという寄生虫が人の体内に入ることで感染をします。
加熱が不十分な豚や鶏、牛、鹿の肉や、猫の排せつ物にトキソプラズマは寄生している可能性があります。
これらの肉を食べたり、猫の排せつ物に触れたりすることで発症することがあります。
ただし、ヒトからヒトに感染することはありません。
猫がトキソプラズマに接する機会をなくすことが予防法となります。
まとめ
さいごまで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事では、猫の病気やその症状、原因についてとりあげました。
私たち飼い主が知っておくべき重要なポイントは、症状の変化を見極めたうえでの早期発見です。
体調の変化や行動パターンに異変が見られた場合、即座に獣医師のチェックが求められます。
また、病気の原因について、不適切な食事、適度な運動不足、ストレスなど、私たちが日頃から気をつけることで防げる病気も少なくありません。
これらの知識を活用し、愛する猫たちにとって健康で幸せな毎日が送られることを心より願っています!
【参考書籍、参考HP】
・「はじめてでも安心 幸せに暮らす 猫の飼い方」/山本宗伸 監修/ナツメ社
・「飼い主が愛猫のためにできること 猫の腎臓病がわかる本」/日本獣医生命科学大学 宮川優一/女子栄養大学出版部
・環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」